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裁判所に訴えを提起したら、すべての事件が判決によって裁判が終わるかといったらそんなことはありません。感覚的には、私の扱った訴訟事件の約半分は、裁判所で和解調書を作成して貰うことによって終わっているように思います。判決を貰って、強制執行までしなければならないのは、むしろまれな方です。
ケースバイケースですが、和解して任意に支払ってもらった方が、判決を貰って強制執行するより、債権の回収率が上がったりすることがあります。勝訴判決を貰っても、相手が控訴・上告することもあります。第1審の地裁で3年、第2審の高裁で2年、第3審の最高裁で2年かかれば、判決の確定まで7年かかりますし、弁護士費用、訴訟費用も多額にのぼります。
やっと判決を貰っても、相手に財産がなければ、判決はただの紙切れです。相手が財産をうまく隠してしまって、強制執行しても目的を達しないというようなことも起こってきます。
お互い少しずつ譲歩して和解すれば、相手も人の子、和解調書通りに支払ってくれることが経験上多いのです。仮に、和解調書に書いてあることを相手が守らない場合、裁判所に頼めば、すぐ、和解調書に執行文というものを付けてもらえます。これがあれば、和解調書でも強制執行できるのです。つまり、和解調書は判決と同じ効力があるのです。
しかし、ここからが、弁護士の溜め息なのですが、依頼者の中には、弁護士や裁判官がいくら和解を勧めても意地で和解しない人がたまにいるのです。その人の気持ちが解らないでもないというときもありますが、多くの場合、こういう人には裁判所は「紛争解決の場」ではなく、「私怨を晴らす場」になってしまっているのです。弁護士は、たくさんのケースを扱い、その経験によって適切なアドバイスをしているのですが、こういう人にとって、和解を勧める弁護士は、相手と結託しているとか、「なあなあ」でやっているとか写ることがあるようです。
弁護士としては、こういう性格の人の依頼事件は最初から断りたいと思うことがあります。弁護士が依頼者と同じ立場に立ってしまっては、最も適切な紛争解決のチャンスを逃してしまうことがままあるのです。
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弁護士 中山知行 |
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